波動シグナル研究所です。
「テクニカル分析は何故当たらないのですか?」
「ひょっとして、テクニカル分析ってあんま意味ない・・・?」
「インジケーターをどんどん追加する“聖杯探し”をしていた」
過去の値動きから相場を分析する方法は、テクニカル分析と呼ばれています。
「本当に意味があるの?」と疑うのは、とても自然なことです。
意味ないと言われる理由
結論から言います。
テクニカル分析は、未来を予知する道具ではありません。予知だと思って使うから「当たらない=意味ない」に見えるのです。
まず、批判の中身を整理します。
よく見かける疑いは3つです。
①「当たらない」。
使っても使わなくても、勝率は50%に収束するのではないか、という疑いです。
②「後付け」。
「トレンドラインも結果が出てから後付けで引いているだけ」——批判側の定番の言い回しです。
③「みんな使うのに、勝つ人は少ない」。
どれも、まともな疑問です。
この記事は、この疑いを否定しません。
むしろ、疑った人ほど検証に向いています。
順番に見ていきましょう。
ランダムウォーク説の言い分
批判の代表格がランダムウォーク説です。
バートン・マルキールは『ウォール街のランダム・ウォーカー』で、価格の動きはでたらめな歩み(ランダムウォーク)に近く、過去の値動きから将来を継続的に予測することはできない、と主張しました。
マルキールが懐疑的だったのはテクニカル分析だけではなく、ファンダメンタル分析も同じです。
真剣に受け止める価値のある、筋の通った主張です。
たとえば、コイン投げで表なら+1、裏なら−1と足していき折れ線にすると、本物のチャートそっくりの「トレンド」が現れます。
トレンドに見えることと、予測できることは別——これがこの説の核です。
偶然の積み重ねでもトレンドは現れる。
だから、過去の形から未来を語るのは危うい、という理屈です。
一方で、反対側の研究もあります。
2000年、ロー・ママイスキー・ワンの3人は学術誌The Journal of Financeで、一部のチャートパターンに統計的な情報が含まれることを確認しました(勝てると証明されたわけではありません)。
ローには『A Non-Random Walk Down Wall Street』という、マルキールに向き合う題名の共著もあります。
つまり、学術の世界でも決着していない——「効くかどうかは、データで確かめられる問い」なのです。
テクニカル分析の本当の役割
では、テクニカル分析は何をする道具なのでしょうか。
雪が積もった朝の道を、思い浮かべてください。
予知の道具ではない
雪道の足跡は、明日だれがどこへ行くかを教えてくれません。
それでも「どこを大勢が通ったか」「どこで引き返したか」は、確かに残っています。
チャートは、この雪道です。
無数の参加者が売り買いした跡が、値動きとして残っています。
テクニカル分析は水晶玉ではなく、足跡を読む道具です。
痕跡と注文の偏りを読む
過去に何度も価格が止められた価格帯には、それを覚えている参加者の注文が偏りやすくなります。
チャートに残っているのは予言ではなく、他の参加者の行動の痕跡なのです。
こう捉え直すと、答えが返せます。
「当たらない」——そもそも当てる道具ではありません。
「後付け」——過去の痕跡を読む道具なのだから、過去を見るのは当然です。
使い方は「未来の断定」ではなく、反応を確かめる場所の目星。
目星の価格帯で実際の反応を見てから動けば、値動きに振り回されにくくなります。
移動平均線や水平線など、個別の道具の使い方はテクニカル分析の教科書で整理しています。
効きやすい場面と効きにくい場面
足跡の濃さは、場面によって変わると言われています。
効きやすいと言われるのは、参加者が多く、同じ節目に注目が集まっている場面。
足跡が濃く、注文の偏りが生まれやすい場面です。
効きにくいと言われるのは、重要な経済指標の発表直後や、参加者の薄い時間帯。
痕跡が一瞬で上書きされてしまう場面です。
これは法則ではなく、検証で確かめられる傾向です。
意味があるかどうかも、信じるか疑うかの二択ではなく、自分のルールを記録して検証すれば確かめられます。
冒頭の「本当に意味あるの?」という疑い——その疑う姿勢こそが、検証の入口です。
