波動シグナル研究所です。
「複利で回せば、雪だるま式に増えるって本当?」
「月利5%を1年続ければ資産は2倍、という投稿がSNSで流れてきた」
「複利で増やすつもりだったのに、有り金を全部溶かした……」
こうした声は、SNSや掲示板で何度も見かけます。
利益を元本に組み込んで運用することは複利、資金の増減をひとつの線で表したものは資金曲線と呼ばれています。
むずかしい数式は出てきません。
この記事で使うのは、電卓でたしかめられる算数だけです。
複利と資金曲線とは何か
結論から言います。
複利の資金曲線は「足し算」ではなく「掛け算」で動き、増える側と戻す側の両面がワンセットです。
本記事は「複利での増やし方」を教える記事ではありません。
複利という仕組みそのものを、計算例だけで検証していきます。
雪だるまにたとえると、複利は「転がすほど、1周で付く雪が増える」転がし方です。
玉が大きいほど、同じ1周でも表面に付く雪は多くなります。
一定の率で増えるものは、元が大きくなるほど増え幅も大きくなる。
これが「掛け算で動く」の意味であり、資金曲線の形を決める正体です。
単利と複利の曲線の違い
計算例で比べます。
資金100が毎月+2%ずつ増えたと仮定して、12ヶ月後を見てみましょう。
利益を元本に組み込まない単利なら、2%×12回で+24%。
資金曲線はまっすぐな直線です。
利益を元本に組み込む複利なら、1.02を12回掛けて約1.268倍。
曲線はゆるやかに上へ反ります。
12ヶ月での差は3%弱と、意外なほど小さい。
ただし掛け算は、続けるほど差が開いていきます。
これが等比(同じ率を掛け続ける増え方)の性質です。
この性質だけを切り取ると、「元手10万円が年利100%で1億に」という皮算用が生まれます。
ただ、これは「計算上は届く」というだけの、いわゆる机上の空論にすぎません。
本記事の数字も、すべて計算例であり目標や予測ではありません。
ドローダウンから戻す算数
掛け算には、裏の顔があります。
資金が減ったとき、元に戻すのに必要な利益率は、減った率より必ず大きくなるのです。
足し算の感覚のままだと、ここで直感が裏切られます。
100万円が−50%で50万円になったら、元に戻すには50万円を2倍にする
——つまり+100%が必要です。
−40%なら約+67%、−30%でも約+43%が要ります。
減り方が深くなるほど、必要な率は同じ調子では増えません。
−10%なら約+11%で済むのに、−50%では+100%。
坂道は、途中から急に切り立ちます。
回復に必要な率の一般式は「ドローダウン率÷(1−ドローダウン率)×100」。
FXのリスク管理解説で広く紹介されている、これも自明な算数です。
50%引きセールにたとえてみましょう。
半額になった商品を元の値段に戻すには、50%ではなく100%の値上げが必要です。
値引きと値上げは、同じ%でも非対称なのです。
「複利運用で失敗する人は、損失が出る前提でシミュレーションしていない」
という指摘があります。
増える側の掛け算だけを見て、戻す側の掛け算を見ていなかった
——仕組み上、誰でもはまりやすい見落としです。
損失を小さく保つ資金管理の全体像は、FXの資金管理 完全ガイドで整理しています。
複利の両面をセットで見る
増える側の等比の伸びと、戻す側の非対称。
ここまでの2つの算数は、同じ掛け算の裏表です。
そしてこの見方は、資金管理の考え方とも自然につながっています。
損失を口座資金の一定割合(定率)に抑える考え方では、資金が増えればリスク額も増え、減れば自動的に縮みます。
定率で回すこと自体が、資金曲線に掛け算のリズム
——つまり複利的な動き——を組み込むことなのです。
なお、バルサラの破産確率表では、1回あたりのリスク率を上げると、勝率50%でも破産確率が大幅に上がるという報告があります。
複利を急がせようとリスク率を引き上げることは、戻す側の非対称を強く呼び込む選択でもあるわけです。
