波動シグナル研究所です。
「ナンピンって、結局どんなタイミングでやればいいの?」
「下降トレンドのまま含み損をかかえて、そこからさらに買い増してしまった」
「膨らんでいく含み損を目の前にして、冷静さを失っていました」
含み損をかかえたまま同じ方向に買い増して、平均取得単価を下げる行動は、ナンピン(難平)と呼ばれています。
やってしまった経験があるとしても、責める必要はありません。
仕組みを知らないまま値動きを見ていれば、そう動くほうが自然です。
ナンピンとは何をする行動か
結論から言います。
ナンピンで下がるのは「平均取得単価」という数字だけで、耐えられる値幅は同時に減っています。
漢字では「難平」と書きます。
「平」は「ならす」の意で、難(=損)を平らに均す、という言葉です。
ただ、実際に平らになるのは損そのものではなく、平均取得単価という数字のほうです。
この記事は、その1点だけを算数で確かめます。
ナンピンは特別な裏技ではなく、平均をとるという算数の話です。
だから、その算数が何を平らにして、何を平らにしないのかを見れば足ります。
なお、なぜやめられないのかという心理の側面は、別の記事で扱います。
ここでは数量と証拠金の構造だけを見ていきます。
平均取得単価は確かに下がる
まず、数字が改善するところを素直に認めます。
以下は説明用の仮の数値による一例です。
ある通貨ペアを150.00円で1万通貨買い、値が下がった149.00円でさらに1万通貨を買い足したとします。
2万通貨ぶんの平均取得単価は149.50円です。
最初の建値まで1円戻るのを待たなくても、0.5円戻れば損益はゼロに届きます。
同じ数量を2回に分けて買ったので、平均は2つの建値のちょうど真ん中に来ます。
これが「平均取得単価が下がる」と言われるときの中身です。
戻ってくるまでの距離が半分になる——これは算数として正しいことです。
ナンピンが効いたように感じられるのは、この部分が本当だからです。
同時に増えている数量と証拠金
少し傾いた棚を思い浮かべてください。
支えたい一心で、その棚の上へさらに荷物を足す。
気持ちのうえでは支えているのに、棚にかかる荷重だけが増えていきます。
ナンピンで起きているのも同じ形です。
さきほどの例では保有が1万通貨から2万通貨になり、同じ1円の逆行で減る金額は2倍になります。
1pipsあたりの損益が2倍になるということは、決めた許容損失が同じなら耐えられる値幅は半分になるということです。
戻るのに必要な距離は0.5円に縮み、耐えられる値幅も半分になる。
この2つが、同じ1回の行動から同時に生まれます。
そして同じ方向に動き続ければ、買い増しは何度も重なります。
荷重が増えた棚が次の揺れに弱くなるように、数量が増えたポジションでは同じ値幅の逆行が前より重く効きます。
証拠金の側も向きは同じです。
ポジションを追加すると必要証拠金が増え、口座の余力が減るため、証拠金維持率は下がる方向に働きます。
ロスカットのルールを整備して守ることは業者の義務ですが、その水準は各社が自ら定める仕組みです(一般社団法人 金融先物取引業協会)。
数値は口座ごとに違うので、ご自身の口座の水準をご確認ください。
追加も含めた合計数量をどう決めるかという土台は、FXの資金管理 完全ガイドで整理しています。
入る前に合計数量を数える
点検は1つだけで足ります。
追加する分も含めた合計数量で、決めた許容損失を超えないかを、入る前に数えることです。
数えるのは金額でも回数でもなく、数量です。
1万通貨で入るつもりでも、あとで1万通貨を足す可能性があるなら、その日の計画は2万通貨として考えておきます。
入ってから数えると、含み損を見ながらの計算になります。
入る前なら、まだ紙の上の計算で済みます。
ナンピンについては、古くから「下手なナンピン素寒貧」と言われます。
上手・下手と呼ばれているものの中身は、たいてい合計数量を先に数えたかどうかの差です。
この記事では、すすめることも否定することもしません。
数字が改善する一方で耐えられる値幅が縮みやすい構造です
——それを知ったうえで、入るかどうかを決めてください。
