波動シグナル研究所です。
「勝率は悪くないはずなのに、口座のお金は少しずつ減っていく……」
「利益はすぐ確定してしまうのに、損切りは『まだ戻るかも』とつい先延ばしにしてしまう」
「損小利大が大事だとよく聞くけど、具体的になにをどうすればいいの?」
損失は小さく抑えて、利益は大きく育てる——この考え方は、損小利大と呼ばれています。逆になってしまうのは意志が弱いからではなく、仕組みを知れば直せるものです。
損小利大とは何か
結論から言います。
損小利大とは、1回の負けを小さく抑え、1回の勝ちをそれより大きく育てる、お金の配分の考え方です。
「損小」は、負けトレードを損切りで小さく確定させること。「利大」は、勝ちトレードを途中でちぎらずに、決めた距離まで伸ばすことです。
じゃんけんにたとえるなら、勝ったら10円もらえて、負けたら50円払うルールで遊んでいるようなものです。このルールでは、勝つ回数が多くても財布は軽くなっていきます。
トレードも同じで、「何回勝ったか(勝率)」と「いくら残ったか(損益)」は別ものです。損小利大は、この配分を「負けは小さく、勝ちは大きく」へ整え直すことを指します。
勝率を追いかける前に、まず配分をととのえる。損小利大は、その出発点になる言葉です。
勝率が高いのに資金が減る理由
勝率のわりに資金が減っていくのは、手法が悪いからとは限りません。1回あたりの金額の配分が逆向きになっているだけ、というケースがとても多いのです。
簡単な計算で確かめてみます。10回トレードして7勝3敗、勝率は70%だとします。
1回の勝ちが+1万円、1回の負けが−3万円なら、勝ちの合計は+7万円、負けの合計は−9万円。トータルは−2万円です。勝率70%でも、口座は減ります。
逆に、勝ち+2万円・負け−1万円の配分なら、4勝6敗——勝率40%——でも合計は+2万円。配分しだいで、結果は反転します。
この「1回の負けに対して、1回の勝ちがいくつ分か」という比率は、リスクリワードと呼ばれています。リスクリワードが1を下回るほど、負けを取り返すのに必要な勝率は上がっていきます。
さきほどの例なら、負け3万円に対して勝ち1万円で、リスクリワードは3分の1。この配分では、10回中8回勝って、ようやく2万円のプラスという計算になります。
損小利大が難しい理由
頭では分かっていても実行できないのは、含み益と含み損とで、心の傾きが逆向きに働くからです。
利益が出ると「消えないうちに確定したい」と感じ、損が出ると「戻るまで待ちたい」と感じる。この人間に共通する傾きには、プロスペクト理論という名前がついています。
しかも厄介なことに、この傾きは「気をつけよう」と思うだけでは直りません。含み益・含み損を見た瞬間、考えるより先に心が動いてしまうからです。
「損切りした直後に、価格が戻ってきた」という経験があると、なおさら待ちたくなりますよね。この記憶も、傾きをいっそう強くします。
つまり、なにも決めずに入ると自然に「利小損大」へ流されるのが人間の初期設定です。あなたの性格の問題ではなく、仕組み上そうなるのが自然なのです。
だからこそ、その場の気分に判断を任せない「入る前の決めごと」が必要になります。なお、1回の負けを口座全体のどこまで許すかというお金の守り方は、FXの資金管理 完全ガイドで整理しています。
利確と損切りの距離を先に決める
直し方はひとつだけです。エントリーの前に、利確までの距離と損切りまでの距離を決めて、注文ごと先に入れてしまうこと。
たとえば、損切りまでの距離を1とするなら、利確までの距離がその2倍とれる場面だけ入る、と決めます。金額そのものではなく、距離の比率で考えるのがコツです。
注文を先に入れておくのは、含み益・含み損を見てから迷う余地をなくすためです。さきほどの4勝6敗の例のように、配分が整えば勝率の重荷はぐっと軽くなります。
決めた距離は、ポジションを持っているあいだは動かしません。見直すのは、トレードが終わったあとの検証のときだけです。
距離が2とれない場面もあります。そのときは、手を出さずに見送りです。損小利大は入る場面を増やす技術ではなく、配分の悪い場面を消していく技術だからです。
