波動シグナル研究所です。
「ゴールデンクロスで買いを入れたのに、下がることはありますか?」
「『ゴールデンクロス発生確定』と書いてありました。
これは、この先上がるということですか?」
「ゴールデンクロスは買い、デッドクロスは売り——本当にそんなに単純なのでしょうか」
移動平均線が2本交差する場面は、ゴールデンクロス、デッドクロスと呼ばれています。
計算を覚える必要はありません。
見ているのは、2本の線の並び順だけです。
名前が仰々しいだけで、中身はとてもシンプルです。
ゴールデンクロスとデッドクロス
結論から言います。
クロスは、これから上がるかを教える道具ではなく、平均の並びが入れ替わったことを確認する道具です。
短期の移動平均線が、長期の移動平均線を下から上に抜けることをゴールデンクロスと呼びます。
反対に、短期線が長期線を上から下に抜けることをデッドクロスと呼びます。
違いは、上下どちらに抜けたかだけです。
短期線は直近の平均、長期線はもっと長い期間の平均です。
2本を並べると、直近の平均が過去の平均より上にあるのか下にあるのかが、線の上下として見えます。
どちらも「買いサイン」「売りサイン」と呼ばれることが多い言葉です。
ただし定義上は、平均の並びが入れ替わったあとに現れます。
「並びが入れ替わった」とは、直近の平均が、より長い期間の平均を上回った(下回った)ということです。
クロスは、その入れ替わりが起きたことを知らせる印にあたります。
高速道路を走る2台の車を思い浮かべてください。
片方がもう片方を追い越した瞬間にわかるのは、それまでに速度差があったという結果だけです。
期間の組み合わせは、日足の25日と75日、5日と20日、週足の13週と26週などが、よく使われる例として紹介されることがあります。
期間の選び方は別記事で扱います。
なお、MACDのゴールデンクロスはMACD線とシグナル線の交差のことで、この記事の移動平均線2本の交差とは別物です。
クロスが遅れて出る理由
順番が決まっているからです。
まず価格が動き、次にその価格を取り込んだ平均が動き、最後に2本の線が交差します。
この順番は、どの期間を選んでも変わりません。
平均は、過ぎた期間の価格を足して割った数字です。
価格が向きを変えても、平均がそれを反映するまでには時間がかかります。
古い価格が計算に残っているあいだ、平均はゆっくりしか向きを変えられないからです。
クロスは、過ぎた価格をもとに描かれた線の交差です。
目に見えた時点では、平均の向きを変えるだけの値動きがすでに起きています。
遅れは欠陥ではなく、計算の順番から生まれるものです。
「ゴールデンクロスで買いを入れたのに下がることはありますか」
——仕組み上、そうなるのが自然です。
クロスは、その時点までに起きたことを映しているだけだからです。
車のたとえに戻ります。
追い越しが目に見えるのは、速度差が積み上がったあとです。
追い越したあとにどちらが速いままかは、まったく別の話です。
そのあと上昇が続いたかどうかは、後から見て初めてわかります。
横ばいではクロスが増える
値動きが方向を持たない状態では、2本の線は近づいたまま何度も入れ替わります。
方向が出ていない場面では、直近の平均も長い期間の平均も、似た数字になるからです。
同じ速度で並走している2台の車は、わずかな加減速で何度も抜き合います。
線の並びが入れ替わる回数が増えるのは、そういう状態です。
「ダマシ」と呼ばれる現象も、定義上は当然起きることです。
クロスの回数が増えたときは、方向が出ていないことの表れとして読めます。
クロスがテクニカル全体のどこに位置するのかは、テクニカル分析の教科書で整理しています。
クロスは事後の確認に使う
「デッドクロス発生確定ってなんですか。
確定がわかるものなんですか」という質問もよく見かけます。
ここでの「確定」や「見込み」は、交差が計算上成立したかどうかの話です。
そのあとの値動きが確定したという意味ではありません。
言葉が強いので、つい未来のことだと読んでしまいます。
この記事の3点を束ねます。
定義は交差というイベントであること。
順番の都合で必ず遅れて出ること。
横ばいでは何度も入れ替わること。
クロスは、これから何が起きるかではなく、すでに何が起きたかを確認する印です。
